寺内タケシの一人舞台

エレキ1本!4チャンネル
エレキ一筋寺内タケシが一人ですべての楽器を奏し、コーラス?までやってのけたアルバム、「寺内タケシの一人舞台」の舞台裏を説明したいと思う。
 一人で種々の楽器を演奏し最後に一本のテープにまとめる方法として、アマチュアの人達がよくやる方法として、テープレコーダーを2台使う方法がある。まず〔A〕のテープレコーダーにたとえばドラムを入れ、それを再生しながらそれに合わせ、次のギターを弾きながら〔B〕のテープレコーダーに録音する。
 また〔B〕のテープをまわし、楽器を弾いて〔A〕のテープレコーダーに録音する。これのくり返しでも一応全部の楽器を一人で弾きこなすことは出来る。しかし出来上った録音物はまずSN(ノイズ)が悪くてダメ、また楽器ごとのバランス面で、どうしても聴くにたえないアンバランスな状態になってしまうだろう。
 ここで登場する機械がマルチ・レコーディング・テープレコーダーである。今回の録音では、アンペッグス社製作の8チャンネル・マルチ・テープレコーダーを使用した。  この機械をわかりやすく説明するとモノラルのテープレコーダーが8台同一のバランスで、同性能で組込まれていると思っていただければ良い。そのかわり使用されるテープは1インチ幅の広いテープが使用される。図の如くそのテープには8つの独立したトラックがあり、それぞれ個々に録音してゆけばよいのである。そして全トラックに音を録音したあと、調整卓(レコーディングコンソール)を通し、色々ないろづけ(エコー、イコライジング等)をして、当社開発による4ch.エンコーダ一を通して2ch.テープにする。
 今回の録音の場合、まずメトロノームとリズム・ギターを同時に演奏したあとでメトロノームは消し去るので第8トラックに録音した、リズム・ギターはメトロノームの音のかぶりを防ぐためもあって、第1トラックに直取り(マイクロフォンを使用せずアンプから直接ラインで録音する方法)した。それが終ると今録音したもの(リズム・ギターとメトロノーム)をヘッド・ホーンで・聴きながらドラムスを第2トラックヘ録音してゆく、こうして7回〜8回のダビングをして第1トラックから第8トラックまで音を録音して、1曲の録音は完了ということになる。こうして全曲録音が完了すると、上記のマスターリングを行う訳である。このマスターリング次第で良い録音も悪くなるし、多少のミスはここでカバー出来るのである。楽器全体のバランスが自由自在に取れる事、エコー処埋イコーライジング処埋もここで自由に出来るし一つ一つの楽器のかぶりもこうして分けて録音すれば全くなく、あとでレコードになった時にステレオの分離も大変良くなるのである。
 簡単に説明するとこうして、この「寺内タケシの一人舞台」は録音されたのである。寺内タケシは現在この大作の録音を終え、一休みする間もなく次の構想を練っている。それは "禅" である。すでにこの為に宮城県松島の瑞厳寺に一週間の合宿を行ない、僧侶と共に寝起きし大変な成果をあげている。このレコードは来年の始めに発売される事になろうが、大きな話題を呼ぶ事は必至であろう。エレキの大将寺内タケシ殿/あなたが常々言っている通り、エレキ・ギターサウンドは全く今誕生したばかりの楽器といっても過言ではない。これからどんなエレキ・サウンドが作られるか想像つかないほどの可能性がある。それをあなたが創り出していって欲しい!製作二課KA

閉じる